【試験前】情報処理技術者試験に向けてのアドバイス
こんばんは。しなもんです。
春に新型コロナウイルス感染症の影響で延期となっていた情報処理技術者試験*1 (以下、技術者試験) が、いよいよ 1週間後の 18日 (日) に実施されます。
厳密には、予定されていた試験区分のうち「基本情報技術者」「情報セキュリティマネジメント」の各区分は今回も延期され、年度内に CBT (Computer Based Testing) 方式で実施されることになったため、10/18 には実施されません。
私も 10/18 に実施されるある試験を受験予定なのですが、別の大型試験を直後に控えていてそちらの勉強をしていたため、ほとんど対策できていません……。
それでも実際に会場で本物の問題に取り組むのは勉強になると思うので、模試のつもりで受験するつもりです。
今回は、そんないち受験者であるしなもんから、同じ受験者の方へ、ちょっとしたメッセージをお贈りさせていただきます。
はじめに
私 (しなもん) は人並外れて受験経験があるわけでも、圧倒的な合格実績があるわけでもありません。
受験自体も 3回 (IT パスポート、応用情報技術者、情報処理安全確保支援士を 1回ずつ) だけです。
あくまで皆さんと同じ「一人の受験者」の立場からの言葉であることをご了承ください。
また、具体的な勉強方法や出題予想はまったく紹介しません。
なるべく正確で役に立つことを書くように心がけてはいますが、実践は自己責任でお願いします。
やってはいけないこと
技術者試験に限らず、受験にあたってやってはいけないことが 3つあります。
1. 不正行為・迷惑行為
いわゆるカンニングなどですね。絶対にやめましょう。論外です。
2. 試験会場に行かない・途中で帰る
技術者試験は以前から起床試験と揶揄されるくらいで、試験会場にさえたどり着けずに脱落する方が多いです。
しかし、朝寝坊ならともかく、「どうせ受からないから行くのやーめよ」はもったいないのでやめましょう!
実際に試験会場で本物の問題を解くのは最高の勉強みたいなものです。
仮に今回ダメでも次回の受験の糧になります。
また、全然対策できていないと思っていても、本番で相性のいい問題が出て、意外と解けてしまうこともあります。
私が支援士試験を受験したときが完全にこのパターンでした。
諸般の事情により午後試験の対策をほとんどまったくしておらず、「今回は午前Ⅰ免除ゲットすれば OK、次回頑張ろう」*2 と思って試験に臨みました。
対策しただけあって午前試験はそれなりに手ごたえがあり、もともとの目標は達成見込みのため、正直帰ろうかと思ったのですが、せっかくなので午後試験も受けてみました。
すると実際出てきたのがなんとか歯が立ちそうな問題で、それを頑張って解いていったらなんと合格することができました。
こういうことも実際あり得るので、自信がなくてもサボったり途中で帰ったりしないで最後まで挑戦しましょう。
3. 氏名や受験番号を書き忘れる
すごくもったいないパターンです。氏名や受験番号を書き忘れると採点自体されません。
答案用紙が配られたら、まず (試験官の指示に従って) 氏名と受験番号は記入しましょう!
そして、解答終了までの間に最低もう 1回確認しましょう!
個人的には「試験終了まであと○分です」といたアナウンスがあったら、たとえ解答を中断してでもチェックした方がいいとさえ思います。
また、選択問題の場合、解答した大問の選択欄に○をつけるのも絶対忘れないようにしましょう!
忘れるとその大問の解答はなかったことになり、非常に不利な状況になってしまいます。
試験日までに心がけること
受験票が届いていることを確認する
10/18 受験予定の方はもう届いているはずです。
届いていなければ至急問い合わせることをおすすめします。
受験票に記載されたことが正しいか確認する
氏名や生年月日といった、申し込み時に入力した情報が正しいかまず確認しましょう。
私はこれを怠って痛い目に遭いました。
生年月日の月を間違えていた (例:12月生まれなのに 11月と入力していた) のですが、まったく見ていなかったせいで当日までにそれに気づきませんでした。
そして試験開始直前、「記載事項に間違いがある場合は赤字で修正」との指示があったのですが、鉛筆しかなかったので訂正できませんでした。
結果として、私の応用情報の合格証書には間違った生年月日が記載されることになりました*3。
受験票が届いたらまず、記載事項を確認しましょう。
試験会場とそこへのアクセスを確認する
都道府県によっては会場があまりたくさんなく、自宅から離れた会場が指定される場合もあるはずです。
どこで受験するのか、そこへ行くにはどの手段を使うのか、その手段を利用するにはいつ出発したらいいかを早い段階で考えましょう。
都市部在住の方は会場が遠方ではないことが多いですし交通網も発達しているので、あまり気にしない方も多いと思いますが、当日慌てないためにも早期に確認しておいた方がいいです。
今回については受験票に記された会場と本当の会場が違うということもあるようなので、あわせて IPA のホームページで確認しておきましょう。
【令和2年度10月試験の一部試験会場、試験地の変更等について】
— IPA(情報処理推進機構) (@IPAjp) 2020年10月5日
10/18(日)実施の令和2年度10月試験において、一部試験会場、試験地を変更することとなりました。詳細はこちらをご覧ください。https://t.co/E7zISAt92V pic.twitter.com/gGbiie2ynw
筆記用具などを用意する
普段鉛筆などの筆記用具を使わない方も多いと思います (私もそうです) 。
直前に慌てて調達するより、事前にきちんと準備しておきましょう。
鉛筆ならある程度削っておき、シャープペンシルなら芯を何本か入れておきましょう。
また万一のことを考えて、鉛筆 (やシャープペンシル) と消しゴムは複数用意しておくといいです。
会場に時計がない場合もあるので、腕時計も忘れず確保しましょう。
顔写真を用意する
鉛筆消しゴムくらいなら、最悪会場周辺のコンビニなどで調達することもできるでしょうが、写真を当日用意するのは困難です。
あらかじめ調達したうえで、前日までに受験票に貼り付けておきましょう。
健康状態を整える
体調が悪くては本来の実力も出ないので、試験前の時期はいつも以上に病気にならないよう気を遣いましょう。
また前日以降は暴飲暴食、消化の悪い食品や当たりやすい食品、激しすぎる運動などを避けましょう。
新しいことを始めない
あと数日という段階で新しい教材 (特に問題集) に手を出すのは個人的にはお勧めしません。
これまで使っていた教材では得られない情報が得られて対策が万全になることもあるので一概に否定はできませんが、思ったよりできなくて自信を失う恐れの方が無視できないと思います。
どのみちこの段階で焦っても抜本的に見直すことはできないので、これまでのやり方が間違っていないと信じて完成度を高めていく方が無難ではないでしょうか。
中には直前期のおさらいを主眼とした教材もあり、そうしたものの利用はまた別です。
計画通りいかなくても焦らない
試験までに「○時間勉強する」「○年分過去問を解く」「○を何周する」といった目標を決めている方も多いと思います。
それ自体は進捗管理やモチベーション維持に役立つはずです。
ただ、ともするとそれが目的化して、「勉強量にとらわれて実際に力が身についていない」「目標通り進まず必要以上に焦る」ことになることもあります。
この時期特にまずいのは後者です。
受験にあたって一番大事なのは当日問題を解いて点が取れること、点が取れる自分であることです。
それまでに何をしてきたか、例えばどんな問題を解いてきたかなどは基本的に関係ありません。
例えば本来解くつもりだった過去問を何年分か解けなかったからといって、それ自体が直接合否を分けることはほとんどありません。
勉強量は当日「これだけ頑張ってきたんだから自分は大丈夫」と自信を持つための手段としての側面が大きく、既定の目標に届いたか届かなかったかで合否を左右するものではありません。
この段階まで来たらリカバーできる時間もないので、できた分で勝負するだけです。それでいいのです。
しなもんは大学入試時、当日までに解き終えるつもりだった理科の過去問を、何回か寝落ちしたせいで何年分か手付かずのままにしましたが、試験自体はなんとか合格できたことがあります*4。
予定通り解ききれなかったことを気にして焦りが生まれていたら、そうはいかなかったかもしれないと時折思い出します。
試験当日に心がけること
目覚ましをきちんとかける
超重要です。起床試験に落ちたらどんなに実力があっても無意味です。
朝食をとる
基本的にきちんと朝食をとって脳に栄養を補給した方が頭はよく回ります。
持ち物を確認し余裕を持って出発する
交通機関の遅延などの偶発的アクシデントもあり得るので、なるべく余裕をもって出発しましょう。
初めての場所の場合、道に迷うということもあります。
昼食を用意しておく
基本的にきちんと昼食をとって脳に栄養を補給した方が頭はよく回ります。
そして、会場周辺の地理にもよりますが、限られた時間で慣れない場所で昼食を探すのは確実性がありません。
朝のうちに用意しておいて、午前試験終了後にそのまま席で食べるのが無難だと思います。
時間のロスも少ないので、午後試験への最後のおさらいにもいくらか多めに時間をかけられます。
手洗いの場所を確認しておく
試験種にもよりますが、ほとんどの科目は長丁場なので開始前にお手洗いに行っておきましょう。
余裕のある朝のうちに場所を確認しておくと、休み時間に迷って時間をロスするのを防げます。
経験上受験者の圧倒的多数は男性なので、男性の方は特に休み時間が始まったらすぐ動いた方がいいです。混むので。
ちゃんと筆記用具を出しておく
試験開始前に筆記用具をきちんと出しておきましょう。
バカにするなと言われそうですが、実際私はこれを怠って痛い目に遭いました (2回目) 。
応用情報の午後、昼休みに一度しまった筆記用具を再び出したつもりだったのですが、消しゴムを出すのを忘れていたのです。
気がついたときは血の気が引きました……
結局、シャープペンシルの頭についているちんまい消しゴムのみで乗り切る羽目になりました*5。記述問題の大規模な修正ができないのでいつも以上に真剣に文章を考えました……。
自信を持って臨む
当日になったら、自信を持って試験に臨みましょう。
「過去問で○割取れた」とか「今まで○時間、○問解いてきた」という裏付けがあればそれに越したことはないのですが、別に根拠などなくても大丈夫です。
何とかなると思って落ち着いて取り組みましょう。
いたずらに不安になっても何も得るものはありません。
受験中に心がけること
解ける問題から解く
技術者試験は基本的に、回答終了時に解きあがっていればどこから手をつけても構わない仕様です。
そのため難しそうな問題を後回しにして、解ける問題からどんどん解いていく戦術が非常に有効です。
問題には①すぐ解ける問題、②時間をかければ解ける問題、③時間をかけてもわからない問題があります。
わからない問題で詰まった挙句、①のすぐ解ける問題に取り組む時間がなくなったらもったいないです。先に解きましょう。
また、本当にわからない問題はいくら考えても確実な得点にはならないので、さっさと諦めて飛ばすなりエイヤーで適当に解答するなりしてしまいましょう。
それらの結果として、②の考えれば解ける問題に時間を回すのが基本的な考え方です。
午前 (午前Ⅰ) 試験では特に、多くの受験生が苦手としていて解答に時間がかかる理論問題・計算問題から始まるので、無理して最初から取り組んでいると後半の問題を解く時間がなくなりがちです。
飛ばした問題も後で落ち着いて解いてみたらすんなり解けることもあるので、恐れずどんどん飛ばしましょう。戻ってくればいいんです。
ただ、応用情報の午後のように「一部が必答問題で他が選択問題」の場合は必答問題から解くのがいいかもしれません。後に回すと忘れることもあるので。
見直しをする
時間がある限り見直しはしましょう。
また、マークシート式で解ける問題から解いた場合マーク欄がずれやすいので、こまめに正しい位置にマークできているか確認した方がいいでしょう。
もちろん、氏名や受験番号、問題選択欄の見直しもきわめて重要です。
解ける問題を解く
試験種によっては午後に選択問題があります。
当たり前ですが、解ける問題を解きましょう。多くの受験者は得意分野や苦手分野があり、取り組む問題によって得点がかなり変わってきます。
そのため、やみくもに解き始めるより、数分かけてでも自分が解きやすい問題を選ぶのが得策です。
事前に問題演習を通じて、自分が解きやすい問題を見極めるカンを養っておくといいです。
また、事前に対策した分野以外の問題が思いのほか解けることもあるので、対策済分野の問題が難しくても諦める必要はありません。
応用情報の場合、事前知識がなくても、問題文をちゃんと読めば常識だけで結構取れる分野もあります。
ちなみにしなもんの場合、支援士試験の午後は「コードもしくはそれっぽいものが見えたら捨てる」という超頭悪い方法で問題を選びました。
午後Ⅰはたいてい 1問セキュアプログラミングの問題が出るので、実質一択です。他の 2問が解ける問題でよかったです。
応用情報ではほとんど何も考えずにノリで解けそうな問題を選びました。
アルゴリズム・データベースは苦手だったので見向きもせず、他の分野から解けそうなものを逐次選んで取り組みました。
まったく対策しなかったサービスマネジメントなどで点が取れた半面、最初に手を付けた経営戦略は振るわず解答途中で放棄して別の問題に切りかえました。
個人の性格にもよるのですが、このように、あらかじめ解く分野をガチガチに決めずにその場で判断した方がいいケースもあります。
白紙にしない、とにかく埋める
マークシート式の科目は 4択問題です。
つまり、まったくわからない問題でも 25% の確率で点数になることが期待できます。
何もわからなくてもこれだけの確率で点数になるのですから、解答終了時にはぜひとも全問題で選択肢のどれかを埋めておいてください。
ちなみに、確実にわかる問題が半分あれば、残りの半分は完全に当てずっぽうでも 62.5% の期待値が得られます。これは合格基準を上回る点数です*6。
全分野を理解できていなくても思いのほか点数が取れることがわかります。
記述式でも同様です。文章で答える問題は相応に配点も大きいことが推測されるため、そのものズバリで正解でなくても部分点をくれるかもしれません。
分からない問題でも、何かしらそれらしきことを書いて欄を埋めておくことは大事です。
泣いても笑っても
技術者試験のような定期的に行われる試験の場合、自分の状態がどうであれ、受験のタイミングは一度きりです。
終わってしまったら次の機会は半年なり一年なり待たなければなりません。
その限られた貴重な機会を、皆さんには、なるべく万全の状態で生かしてほしいと思い執筆しました。
私自身も受験者です。
お互い悔いの残らないように頑張りましょう。
*1:情報処理安全確保支援士試験と他の情報処理技術者試験は法令上別のものなので区別するべきですが、受験者として意識する必要があるような違いはないので、本記事では便宜上まとめて技術者試験と呼称します。
*2:高度試験は午前Ⅰで基準点を越えると、それから後 2年間の高度試験受験において午前Ⅰの免除を受けられます。範囲の広い午前Ⅰで免除を受けられるということは、より専門性の高い午前Ⅱ・午後試験の勉強に集中できるということなので、かなり有利に受験することができます。
*3:受け取った合格証書に誤りがあった場合は郵送で訂正をお願いすることができるのですが期限があり、私は再配達などで受領に手間取り期限まで間がなくなったことにより、下手に訂正依頼すると受理されず証書がなくなるかもしれない状態に陥り、訂正を断念しました。
*4:解くべき過去問を直前まで残していたこと自体は普通に悪手なので真似しないでください。
*5:申し出れば取り出す許可が出たかもしれませんが、実行しなかったのでできるかどうか不明です。
*6:全問題の配点が同一と仮定した場合